以下、カンボジアでボランティア活動をしていた友人の記事です。数年前の記事ですが、店主のツボにはまったので掲載いたします。
『お国が変われば文化も習慣も変わります。 物事を捉える目、価値観も違えば、『美』の評価だって違うはずです。 そんなことを最近体験しました。 コンポンルアン水上村に浮かぶ私たちの識字教室「マリアーノ学校」には、 レカナというベトナム人の先生がいます。2児の母ですが、まだまだ若い21歳です。 そのレカナ先生が先日図工の時間に、 「生徒達に私の描いた絵をお手本にして、誰が一番うまくかけるのか、点数をつけて競わせる」 と言い出しました。私はそれをそばで見ていました。 先生がお手本を描き始めました。 何を描いているのだろうと思いました。 先生があるものを描き終わりました。 でも、私はまだ何を描いたのかが本当に分かりませんでした。 「まさか、ぬらりひょん?!いや、そんなはずはない。あれは日本の妖怪のはずだが…」 「いや、待てよ。外国から輸入されて来た妖怪という可能性もある」と自問自答していましたが、 その時レカナ先生の言葉が耳に入りました。 「さあ、先生のようにネコを描いて!」と。 ああ、これはネコなんだ、と思いました。 言われて分かったというわけではありません。 ただ先生がそう自信を持ってその絵をネコと宣言したから、それはネコになった。 そんな感じです。
こんな天真爛漫なネコに出会ったのは初めてです。 そのショックでしばらく立ち尽くしていると、 絵を描き終えた一人の生徒が、絵を見せてくれました。 その生徒の絵は、忠実に先生のネコを真似ていました。 その意味で、この子は本当に絵が上手です。 ただ、お手本がアレなので、この子の絵も、やはり私には…。
こんな絵に出合えることは生涯で一度くらいだろうと、 記念に(いや、記録に)「写真をとらせて」と先生に頼むと、「恥ずかしいから」と答えました。 「ほう、この絵がちょっとアレな絵だと自覚しているのか」と思ったら、 「いろんな人に見せるんでしょう?恥ずかしいわ」と、ちょっといろんな人に見てもらいたそうな発言です。 自信があるのでしょう。嫌とはいいながら、たくさんとらせてくれました。 彼女の願いに応え、シェアした次第です。ちゃんちゃん。』
以上、カンボジア、コンポンルアン村からのMTさんのレポートでした。